探仏記Ⅲ ~気まぐれ仏像探訪~

気が向いたら出かけてみようか・・・

ブログの終わりにあたって

探仏記は、たまたま見かけた「名仏探訪」という言葉をヒントに適当に名付けた。最初は「奈良です!」とか言うタイトルだったような....記憶が定かではないが、元々家族や知人に奈良出張中の様子を伝える手段として、途中からは訪れた寺院や博物館の備忘として記してきた。

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<これが元になった作品>




最初の投稿から10年が経過。

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昨年、探仏歴の中でピークとなるイベントがあった。それは『快慶』展。煩悩の塊なので、なかなか拝観できない快慶仏を生涯かけてでも制覇しようと思っていたのだが、『快慶』展でほぼ達成できてしまった。残るは浄土寺と何体かの三尺阿弥陀くらい。

その後、『運慶』展など、かなり密度の濃いイベントがあったものの、どこか気が抜けたような感じがして、これは燃え尽き症候群かなと思ったり。

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頻度は少なくなったが、今でも寺院や展覧会には時折足を運んでいる。ただ、ブログの更新はかなり億劫になってきた。読み返してみると他のブログと違って、何がどこそこにあるといった内容が中心で、どのような仏像でその時自分がどう感じたかなどはかなり端折られている。文章力の無さからくる冗長な文体は自分で読んでも飽きてくる。最早書く意義をまったく感じない。

恐らく今後もライフワークとして「探仏」は続けていくと思う。でも、ブログはもういいかな。そう言えばTwitterも半年近く更新していない。いわゆるSNS疲れなのか、とにかく面倒になった。まぁ、でもよく続いたものだ、日記なんてこれまできちんと書いたためしがない。

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という事で10年という区切りもあり、『探仏記』~『続・探仏記』~『探仏記Ⅲ』と続けてきたブログをこれにて締めくくろうと思う。天邪鬼なので、気が向いた時に違う名前でまた書き出したりするかもしれないけど....(苦笑)

草々

探仏10年

2008年の秋、奈良に出張した時に仏像を拝観したのをきっかけにして、仏像に興味を持ち始めた。それから10年が経過し、様々な仏像を拝観してきたが、これまでの自分の興味の変遷を振り返ってみる。


■きっかけは三千院
最初に仏像に惹かれたのは京都・三千院の阿弥陀三尊だったと思う。往生極楽院でのお坊さんの説明が面白かったのに加え、その後に訪れた勝林院で拝観した阿弥陀三尊と比較して同じ尊名でも異なる表現、異なる配置である事に興味が沸いた。全てはここから....
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■十二神将、阿修羅、そして気になる仏師・運慶
書籍やWebで仏像を調べるようになると、奈良にはスター仏が存在している事がわかった。阿修羅や新薬師寺・十二神将といった異形の仏たち、そして頻繁に名前が出てくる運慶という仏師に興味津々。薬師如来を円形に取り巻く十二神将はインパクトがあった。
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■法華堂と立体曼陀羅
おススメ仏としてよく取り上げられていた
東大寺・法華堂の仏群や東寺・講堂の立体曼陀羅。最初に堂内に入った時の感動を今でも覚えている....本当に鳥肌が立った。仏群や巨仏(大仏ではなく)はインパクトがあった。

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■運慶の孫、康円
奈良から関東に戻ってきてからは悶々とする事が多くなった。ちょっと出掛けて仏像を拝観、という事ができなくなったためだ。その時の救世主が運慶の孫である康円。東博や世田谷観音で殆んどの作が拝観できる。身近にある慶派仏は小振りながら自分の探仏欲を埋めるには十分だった。

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■忿怒相の仏たち

とにかく初期は八部衆、四天王、愛染明王、十二神将、二十八部衆、不動明王など忿怒相の仏像が好きだった。躍動感があり、武具を持つ仏たちは、さながら子供の頃に見たヒーローもの・怪獣ものを彷彿とさせ、童心に返らせてもくれた。

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■高野山、運慶・快慶の最高峰
高野山は探仏のひとつのピークとなった。光台院で拝観した快慶・作の阿弥陀三尊は特に美しく、その後快慶仏を追っていくきっかけとなった。また霊宝館で展示されていた運慶・作の八大童子(展示は恵光童子・烏倶婆誐童子の二体のみ)には運慶の精神性までも感じる事ができた。まさに運慶・快慶の最高峰に出会う旅となった。


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■快慶仏との出会い
以前から快慶は気になっていたが、光台院拝観をきっかけに、更に追いたくなった。快慶に関する書籍を探し回っていた時期もあった。


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■三十三間堂の千体千手観音
当初、千体千手観音はどれも同じに思えてあまり関心がなかった。ある時、テレビ番組で三十三間堂が紹介されてて、湛慶・作の千手観音が数体、横並びで見るとそれぞれに個性がある事に気付き俄然興味が沸いてきた。三十三間堂の内陣の画像を見つけると、二十八部衆や柱の位置から何号尊か特定し、手前の100体について比較を試みたりしていた時期があった。これまで調べた画像は沢山あったのだが、PCのハードディスクが破損してファイルが消失した所で一段落した形だ。


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■快慶の弟子、行快
快慶の三尺阿弥陀を追う延長で、弟子の行快の三尺阿弥陀を調べているうちに、行快自体にも興味がでてきた。まだ拝観できていない仏像もあるが、半分くらいまでは何とか....


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■旧浄瑠璃寺の十二神将
毎年、東博で展示される旧・浄瑠璃寺の十二神将五体。残る七体は静嘉堂文庫美術館にあり、修復などの関係からか確か2007年頃の展示を最後に公開されてこなかった。なので2016年に修復を終えた四体が公開された時にはとにかく大興奮したものだった。もしかしたら運慶仏かも、という話題もあって一部ではかなり盛り上がっていた(実は自分だけだったかも...)


関連記事:『よみがえる仏の美』展@静嘉堂文庫美術館
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■快慶展
ある意味探仏10年の中で快慶展が最大のピークだったように思う。快慶仏がこれだけ一堂に会する機会はもうないだろう。未見の三尺阿弥陀も二体を除き全て拝観する事ができた。十二分に快慶を味わう事ができたが、同時に燃え尽きた感じもした。

関連記事:春の奈良旅(2) 『快慶』展@奈良国立博物館
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■そして、現在
快慶展の後、運慶展や仁和寺展もあったが、特に高揚感もなく気が抜けたようになってしまった。特に運慶展では静嘉堂の十二神将七体が、東博の五体と顔を合わせて一堂に揃っており、夢にまで見た光景だった筈なのに、あまり心に刺さってこなかった。更に東博と金沢文庫の二つの運慶展をもって、現存運慶仏の拝観コンプリートにも特に感慨もなく。今、仏像と対峙する時、これまでのように裏表横と隈なく
凝視するような事はなくなり、全体をボンヤリ眺めてる、といった感じになっている。振り返っても印象に残っていない事が多くなった。

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金沢文庫の『運慶』展
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仁和寺展 (1)


そろそろ箸休めの時期に差し掛かったのかな....

リニューアルした上原美術館

上原美術館
南伊豆に行く機会があったので、昨年、上原仏教美術館と上原近代美術館がひとつになりリニューアルオープンした上原美術館を訪問。
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まずは仏教館
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一見するとあまり変わってないように思ったのだが、中に入ると旧仏教美術館の方は展示スペースが拡張されていた。元々の展示スペースには、近代の仏像彫刻群のみとなり、奥の拡張スペースの方に古仏群。奥に向かう際にTwitterでフォローさせて頂いてる学芸員の田島さんとすれ違う。こちらが一方的に存じ上げているだけなので、お話を少し聞きたいなと思いつつ、さすがに声はかけられず。

近代仏は撮影可、下記の画像は三十三間堂をモデルにした二十八部衆。
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奥のスペースでは「すがたうるわし―仏像と近代絵画の出あい―」という企画展示。以前来た際にも拝観した平安時代の十一面観音と、安阿弥様の阿弥陀如来に加え、興福寺千体仏が一体、薬師如来(平安期)、行順・作の大日如来(鎌倉期)、中央に吉田寺寄託仏の阿弥陀三尊と少数ながらバラエティに富んでいる。大日如来は小さいながら鎌倉仏を思わせる作風、阿弥陀三尊の脇侍は地蔵・観音という珍しい組み合わせ。仏像の反対側に「ブリュンヒルデ、神々のたそがれ」「「婦人像」という西洋画が展示されており、ひとつの空間に和洋が混在する面白い試み。ただ、自分の絵画に対する感覚が鈍いせいもあり今ひとつピンと来なかった。西洋画がこの2点だけで、残りは近代の仏画だったこともあるかもしれない。全部西洋画だったらもう少し素人な自分でも何か感じる事ができたかもしれない。
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続いて近代館。こちらは初めて入館、絵画のみ。
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絵画は和様問わずに好きではあるが、正直あまり語れるだけの感性は持ち合わせていない。一番印象に残ったのはジョルジュ・ルオー作の「キリスト」という作品。小さいキャンバスに絵の具の塊みたいなものを配置しているのだが、それが何故かキリストっぽく見えてきて、もの凄く不思議な感覚だった。

美術館の反対側には下田達磨大師。 きちんと読んでないのだが、達磨大師の遺骨(?)を永平寺から分骨して祀っているような事が書いてあったような気がする。達磨大師をお祀りしているのは永平寺とここだけ、と。
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こちらに祀られていると思われる。
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南伊豆はなかなか来る事がないので、次はいつになるかわからないが、また機会があれば是非。